記事情報
- カテゴリ
- 2025-07-18 ・海外旅
- 投稿者
- よしみ
- タイトル
- 旅と危険な遊び
- リード文
- 赤い風車で有名なムーランリュージュ近くの・・・
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この表題からして「何とバカなこと言ってるんだ」そんな声が聞こえてくる。日本の外務省は海外安全ページなるもので渡航先の危険に対して常時情報を流している。若かりし頃、親からは「旅行に行ったら絶対に危ないところに足を踏み入れるな」と注意を受け、本人も肝に銘じていた言葉だ。しかし旅を重ねてくると慣れと自信から一般的な観光旅行の枠からはみだしたい気持ちになるものである。それは昔から言われている遊びの三要素である「飲む・打つ・買う」の世界に足を踏み込みたい好奇心と・冒険心が膨らんでくる。そんな気持ちを持った人はグループ旅行のお客様の中には何人か必ずいる。東南アジアの旅行先では現地ガイドが担当した団体に関して何事も起らないように注意を払っているので危険なる場所に足を踏み入れることは殆どない。その反面、時間で契約されているヨーロッパ・北米・オセアニアにおいて、ガイドが帰った後の夜の案内は添乗員がしなければならない。私自身も好奇心旺盛な人間であり又お客様の要望には「ノー」と言わないことをモットーとして仕事をしていましたので、あらゆる「夜遊び」に付き合ってきました。
そんな中で一番の記憶に残る事件はパリの飲み屋での出来事である。赤い風車で有名なムーランリュージュ近くの飲み屋に呼び込みの「一杯1フランでのドリンクサービ」につられて地下の薄暗いお店に入った。値段からして私自身の頭の中では「ちょっとあやしいな」との思いがあったが、ここはパリの繁華街「ま、いいか」との判断をしていた。その様なお店に入るのはパリでは私自身初めてであった。店に入ると、ミニスカートの接待女性が数人いた。お客は他に居たかどうかわからなかった。男の案内係に4人掛けのテーブルに案内された。私は席に座る前にトイレ行き用を足して席に立ち戻ろうとした時、私の前を女給の一人がシャンパンの瓶を持ち歩いて我々のテーブルに向っていく姿が目に入った。その瞬間私は「あぶない」と危険を感じて大きな声で「出ましょう」と叫んだ。そして階段を上りかけた時、大きな男が手を広げて我々の進行を妨げようとした。先頭の人が大声で「どけ!」と叫んだ、一瞬大男がひるんだ隙に階段を登り切り店の外へ出て道路を走って逃げた。それからパリのサンザザール駅の近くのホテルに戻るまで、パリの街を2時間位彷徨よった思い出は、40数年前の危なかった出来事として、今でも私の脳裏に残っている。
この出来事は危機一髪のかっこいい話であるが、真逆の経験を10年位後にになって経験してしまった。ホテルから乗ったタクシー運転手の推薦する店に案内させた。そのお店も前回と同じムーランルジュに近い場所に位置していた。運転手を信じて居たので、安心して店に入り飲み物を注文し終わって待っているとシャンパンの瓶をぶら下げて女給が我々のテーブルに向ってくるではないか、我々はシャンペンなど頼んでない。その瞬間、「危ない!店から出ましょうと」叫んだ、そして店の外に出て見渡すと一人のお客様がいない、仕方なく店に戻ると一人のお客が男に羽交い絞めされている姿があった。万事休す!かなりの金を払いその店を後にした。まさに暴力バーでの悔しい体験であったが、我々の身に何事もなくその旅を終えることが出来たので今思うと良かったのかもしれない。「君子危うきに近寄らず」の話である。
赤い風車で有名なムーランリュージュ